夜になると、部屋のなかで歩行音がよく聞こえるようになっている。わたしのほかに誰もいない部屋なのに。気になって眠れなくなる。目を閉じることができるのに耳を閉じることができないのに文句を言いたくなる。自然と耳に意識が集まる。革靴/サンダル/下駄、いくつもの足音。歩行/早足/駆け足、いくつもの足音。見回す。誰もいない。当然だ。なのに聞こえる。わたしは家のなかで靴を履く。まるで外国に来たみたいだと想像する。足音に混ざる。スキップをする。ステップを踏む。家族がうるさいと部屋に怒鳴りこんでくる。それから目をむく。わたしの名前を呼ぶ。どこにいる!?周りを見回し、ベッドのなかを探し、わたしの名前を呼び、ベッドの下を探す。無数の足音に家族の顔色が青くなり赤くなる。それから耳をふさぎ、そのばにうずくまってしまう。わたしなりのタップダンスを試す。家族の顔色が青くなり赤くなるのを楽しむ。