生体反応を探る。ゼロ。「ここにもいないの?」僕は彼女にうなずく。「そろそろひとりくらい生きていてもいいのに」「もう誰もいないのかもしれない」ぱん、という音。平手打ちを食らった僕の顔が横を向く。「きっといる」「いるとどんないいことがあるの?」「そんな問題じゃない」答えになっていない。彼女の目に火がつく。僕が飛び退いた先を、彼女目から飛び出した熱線が通りすぎてゆく。熱線がビルに命中する。ビルが溶け落ちる。両目の火を涙が消す。彼女がしがみつく。獣みたいな声がする。毎秒数リットルの涙が僕を濡らしてゆく。こうなっては僕は立っているよりない。頭脳のアイドル時間を活用し、生体反応を探す。反応なし。ゼロ。無。ネガティブ。あらゆる表現の否定。彼女はそんな否定に打ちのめされるたびに泣く。僕がいるのにどうして。そんなことを考える。僕も泣きたくなる。