あなたの臓器には重大な疾患があり、身体の一部を交換すべきと医者より診断された。気になることがいくつかある。まずはわたしの身体のどこが悪いのか。そしてどこを交換するのか。そして/「保険は効きますのでご安心下さい。海外と異世界ではすでに確立された技術であり、安全性も確立されておりますので」/いやそういうことではなくて/「もちろん、普段の生活ができるようになります。さらには初歩ではありますが、世界の構成則の操作もできるようになります」/わたしは渋い顔になる。医者は手術への不安を読み取ったのか、さらに複数の論拠を述べてくれた。わたしは根負けして、手術の同意書にサインをしてしまう。診察室を出る。診察料を支払って外に出る。振り返り、病院の看板に目をやる。獣医と書かれている。腕のなかで愛犬が不安そうにわたしを見上げている。