図書館の司書室には古びたタイプライタがある。タイプライタはときどき勝手にタイピングを始め、印字された紙を吐き出す。印字された内容は読み解けることもあれば、無意味な文字列(のように見える)こともある。明日の特売情報であることもあれば、黙示録をほのめかす詩であることもある。司書がタイプライタに向かい、タイピングしようとするも、内部の機械が壊れているのか動かない。人間の手による入力は拒否されているらしい。タイプライタは自動で動く。タイプライタは印字された紙を吐き出す。司書は紙を手に取り、図書館内の連絡掲示板に画鋲留めする。何人かの物好きが掲示板の前にスタンバイしており、タイプライタの自動書記の内容を待っている。