ビルの壁面ディスプレイはいくつもの矢印が描画されている。矢印はだいたい右上を向いている。前進と成長との比喩。誰もがビルを見上げ、矢印の向かう先を見つめて自分を奮い立たせている。わたしも同じくする。向かう先を見る。矢印は高層ビルを飛びこえて宇宙へと、どこまでも向かってゆく。わたしは矢印と一体化する。向かう先と一体になり、大気圏を突破し、矢印が示す目的なるものへ向かって突き進んでゆく。