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十二月の昇天
このところ眠りがよろしくない。深夜に目覚めてしまう。やることがないので天上をじっと見上げている。次第に天上とわたしとの区別がつかなくなってくる。あれ、わたしは自宅のベッドで眠っているのではなかったか。どうして木目ではなく、天上の世界を見上げているのだろう。そもそもわたしの神であり父祖は天におわすものだったか。わからなくなってくる。次第に意識がふわっとしてきて、肉体を離れ、垂直に天上へ向かってゆく。神や父祖のもとへ向かう高揚感が生じる。「寒い!」そして十二月の夜、高度数千メートルの地点にパジャマ一枚で放り出されたことを呪う。