ふと床に目をやると、愛犬が横たわっている。小さな寝息を立てている。わたしが顔を近づけても、起きる気配すらない。さらに顔を近づけてゆく。愛犬の黒く濡れた鼻が白い光沢をまとっている。光沢は虹色に瞬く。鼻の穴からハシゴが伸びて、家の天井まで届く。鼻から出てきたホビットは家財道具一式を背負い、それでもしっかりした身ごなしでハシゴを登ってゆく。