わたしは眠るときに、下方へ沈みこんでゆくイメージをする。どこまでも下へ、下へ。こうしていつものように眠りにつく。「ひゃっ!?」背中に触れた水の感触に声を出してしまった。なんで。考えようとするあいだも、身体が下方へ——水面へと沈んでいく。耳に水が入る。けれど苦しくはない。なにがどうなっているのか。沈んでゆく。同時に眠気がやってくる。待って、こんな状況で眠ってしまったら、目が覚めたときどうなってしまうのか。意識が途絶える。なにか夢を見る。目を覚ます。いつも通りのベッドであることに、ほっとする。周囲を見回す。周囲は一面の水。そのなかで、わたしのベッドだけが浮かんでいる。上を向くと、無数のヘリコプターがひっきりなしに救助活動を行っている。