近所の神社に犬が住み着いている。散歩のたびにみかけるその犬は、少しずつ、けれど着実に体長を増している。どこまでも大きくなってゆく。5年もたてば、すっかりわたしの身長を超え、ちょっとした家ほどの大きさだ。ある日、散歩コースの神社に向かうと、犬が昼寝をしている。わたしは犬に身体をもたれると、その体温にねむたくなってくる。力が抜け、石畳に座り込んでしまう。お尻がひんやりする。不意にそれがなくなる。わたしの足ほどある尻尾がわたしを持ち上げ、椅子代わりになってくれている。ありがとうございます。わたしたちはそのまま午睡になだれこんでゆく。