実家の大掃除をしていたら、押し入れから家系図が出てきた。掃除の休憩時間と言い訳して、わたしは家系図を床に広げる。ちゃんと更新され続けているらしく、わたしの名前もちゃんとあった。家系を遡ってゆく。わたし→父母→祖父→馬→原始資本思想→ドラゴンフルーツ→超伝導。なんだこれ。途中から人間ですらなくなっているではないか。だとすると、いまここにいるわたしはどうなってしまうのだろう。ふと視線を転じると、庭先で祖父が洗車している。煙草を買ってくると言って、祖父は時速80キロを超える速度で走り出す。かつて重賞を獲得した足に、わたしを除いた親戚一同がうなずき、そしてそれぞれの大掃除に戻ってゆく。