緊急のときに備えて戦闘機の開発を指示された。私と同僚は今までの仕事から一転して設計者になる。戦闘機と言われても、なにがなんだかわからない。それでも指示は指示なので、派遣された技官の教えを受けつつ戦闘機を設計してゆく。時間が経ち、試製戦闘機を製造する。かくして私たちは格納庫に並ぶ戦闘機を見上げる。なんだかんだ、頭の中にしかなかったものが形になるのはうれしいものだ。けれど、同時にこうも思う。なんのために作ったのだろう?緊急とは?首をかしげるも、答えはない。戦闘機に搭載された機械知性が起動し、戦闘機が滑走路へとすべり出てゆく。そうして一機ずつ発信し、頭上で編隊を組む。戦闘機群よりメッセージが届く。感謝の絵文字だった。この仕事をしてよかった、そんなことを思っていると、戦闘機群はマッハ5で頭上から飛び去ってしまう。かくして戦闘機への疑問のみが残る。なんのために?