目を覚ますと部屋が妙に明るすぎる。時計を見ると89時7631分になっていた。なんだ、もうこんな時間になってしまったのかと考えて、そもそもこの時間は何かと思い直す。これは60進数法で計算し直せばよいのか。単位を確認しようとするけれども、デジタル時計のため、時計の針という概念がない。そんなことを考えている間に目が覚めてくる。私は布団を抜け出し、半分開いたカーテンを全開にする。窓の外を確かめる。すると、時間が急加速と巻き戻しをあちこちで繰り返している。正しい時間に補正されていく。時間の補正が終わり、待ちが、いつもの眺めになる。時計を見る。10時34分。遅刻が確定し、私の顔から血の気が引いてゆく。