周りが急に新しいことを始める。ビーカーの注入対象は変わらない。文化の変化も見られない。隣国の急速な成長が始まる。私の文明に変化はない。成長はしているはずだけれど、国民の支持が低下してゆく。焦りが生じる。けれど何か変えようとは思えないでいる。数世紀が経過する。成長を遂げた文明に発展の余地がなくなる。余地を求めて対外進出する。交易に結びつく。あるいは戦争への最短経路となる。私の文明に変化はない。国民の支持は上がったり下がったり——おおよそのところ変化は見られない。さらに数世紀が経過する。私の文明のみが生存する。周りの文明は疲弊して消えるか、地理的概念になってしまっている。文明としては勝者となる。けれど私は今までにない焦りを感じる。私だけになることで生じる、これからどうしよう?という問いがむき出しになって私を苦しめる。