視界にはいくつものゲーム盤が広がっている。盤上には無数の駒があり、それぞれの役割を忠実に果たそうとしている。あちらの盤上では戦争が、こちらの盤上ではマネーゲームが展開している。ゲーム盤とゲーム盤が通信ケーブルで接続される。ゲームとゲームが入り交じる。株式市場にAKを持った少年兵が突撃し、廃墟となった市街にフィンテックの新興企業のオフィスが乱立する。経済は戦争になり、戦争は経済になる。どちらもある種の競争となる。駒は上を向く。自分の踏みしめる大地が盤であることに気づく。視界を抽象して視野に、さらに抽象して視座に。視座にはいくつものゲーム盤が広がっている。そこで駒たちは気づきを得る。自分のいる場所がゲーム盤ではない保証はない。上を向く。かつて視座だったものが具体としての視界になり、そこからまた視野となり、視座へとなってゆく。